②人間の幸福

・乳牛は、人工授精によって種付けされ、人工的に哺乳され、搾乳され、ミルクを出さなくなると屠殺される。自然界で生き延びるのに母親の愛情は必須だが、人工的な環境では必要ない。それでも子牛は母親を呼び続ける。自然界で形作られた欲求は、もはや生存と繁殖に必要なくなったときにさえ、主観的には依然として感じられる。

 

・幸福は、客観的条件と主観的な期待との相互関係によって決まる。

仏教は紀元前450年ごろにこの事実に到達している。

現代人は、不便さや、不快感に対する堪え性が弱まり、強い苦痛を感じるようになっている。

・経済の底辺の人々にとって、富の増大は幸福度の上昇を意味する。年収2500万円程度までは。それ以上では、生活のレベルが上がるだけで、幸福度とは関係ない。

・富や健康よりも家族やコミュニティの方が幸福感に大きな影響を及ぼすようだ。

個人の自由が増大し、人生の進路に関して各人が絶大な決定権を行使するようになるにつれて、それぞれが深いかかわりを持つことが難しくなってきている。

・マスメディアや、広告産業は人間の欲求を煽り、人を不幸にする。